4月8日(月)、東京・霞が関の東京地方裁判所で、「全国 拉致監禁・強制改宗被害者の会」の後藤徹代表が、自身に対する拉致監禁・棄教強要に関与した親族や新津福音キリスト教会の松永堡智(やすとも)牧師、職業的改宗活動家の宮村峻(たかし)氏などを相手取って起こした民事裁判の第14回口頭弁論が開かれ、原告側と被告側それぞれ1名づつの証人尋問が行われました。
原告側の証人として出廷したMさん(女性)は、被告宮村氏の脱会説得により、一度は統一教会を脱会し、いわゆる「リハビリ」と称する期間中に原告後藤氏の監禁現場を訪れ、宮村氏や元信者らが行う脱会説得に加わった事実があったことなどから証言することになりました。
Mさんの主尋問では、まずMさん自身が受けた監禁説得に関する質問が行われ、宮村氏によってMさんの家族の行動や判断までもが制限されていた事実や、宮村氏が関与する「水茎会」と称する父兄らの会によって、監禁用の部屋が準備されたことなどを証言しました。
Mさんが後藤氏の監禁現場に訪れた場面について、「宮村さんや元信者で囲まれ、後藤さんはうなだれ、彼らに言われるがままでした。元信者たちがニタニタと笑いながら『お前は馬鹿だ。思考停止している』などと後藤さんを中傷する様子は、まるで一人を寄ってたかっていじめる“見世物ショー”のようで嫌でした」と述べました。
主尋問後、昼休憩を挟んで午前と午後とにMさんへの反対尋問が行われました。Mさんは被告側の弁護士らからの質問に冷静に回答。被告代理人らの中には、思うように尋問できず、Mさんに対して声を荒らげる弁護士もいました。
被告側の証人として出廷した元信者のO氏(男性)は、自身も2度の脱会説得経験者で、宮村氏の関与による脱会後、宮村氏の広告代理店で働きながら、後藤氏をはじめとする教会員の監禁現場に足を運び、宮村氏らによる棄教強要に協力をしてきた人物です。
O氏は、後藤氏が監禁下のマンションに留まっていた理由について意見を尋ねられると、「引きこもって、自分なりに(気持ちを)整理していたんだろう」などと証言。さらに、統一教会側が主張する「拉致監禁」は、教会側から連絡の取れない所で行う“ただの家族の話し合いに過ぎない”という被告側の主張に沿う証言を行いました。
原告側の弁護士からの反対尋問では、O氏自身が記した著書から、O氏が宮村氏の会社で宮村氏から理不尽な扱いを受けていたことなどが指摘され、強引な手腕を振るう宮村氏との確執も浮き彫りになりました。
また、監禁下で教会員の脱会を支援していたO氏を含む元信者らは、「(それぞれが)思い思いに(監禁現場へ)向かっていた」とし、宮村氏の指示や関与を殊更に否定しましたが、全般的にO氏の証言は矛盾が目立ち、信憑性を疑われる印象を残しました。反対尋問の終盤ではO氏自身の監禁中の体験について、「(監禁現場から)親が出してくれなかった」とつい口を滑らす場面もありました。
次回は、5月14日(火)午前10時から午後3時まで709号法廷で、被告のT氏(後藤徹氏の兄)が出廷し、証人尋問が行われます。なお、次回法廷での傍聴は抽選になる予定ですので、詳しくは東京地裁の傍聴券交付情報をご確認ください(通常は、開廷時間20分前までに東京地裁玄関前の指定場所で抽選券が配布され、その場で抽選が行われます)。
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