6月17日(月)、東京・霞が関の東京地方裁判所で、「全国 拉致監禁・強制改宗被害者の会」の後藤徹代表が、自身に対する拉致監禁・棄教強要に関与した親族や新津福音キリスト教会の松永堡智(やすとも)牧師、職業的改宗活動家の宮村峻(たかし)氏などを相手取って起こした民事裁判の第17回口頭弁論が開かれ、被告の宮村氏と後藤氏の妹Mさんの本人尋問が行われました。
後藤氏の妹Mさんは、被告でもある後藤氏の兄から伝道されましたが、宮村氏の説得により脱会。29歳から41歳までの「30代の貴重な時間」を、後藤氏との「話し合い」に費やしました。
Mさんの主尋問では、自身が宮村氏によって「監禁」されていたことは否定しましたが、「(保護されたマンションから)隙をついて逃げようとした」ことや、話し合いの期間中は「1か月間外出しなかったこと」、「宮村さんが面会に来た時に押入れに立てこもった」ことなどを認めました。
統一教会を脱会したMさんは、「話し合い」をした同じマンションで「リハビリ生活」のため3か月間滞在したことを認めた上で、「マンションから出るのは誰の判断なのか? 宮村さんの判断?」と被告代理人弁護士から尋ねられると、「違います!」と宮村氏の指示を否定。あくまでも「家族と自分の判断」であることを強調しました。
Mさんへの反対尋問では、一度目の「拉致監禁」から逃れた後藤氏が「なぜ“偽名”にする必要があったのか?」と問われると、答えに窮している様子が伺えました。
また、Mさんをはじめ家族が後藤氏に対して行った「食事制裁」について、Mさんは、断食を行った後藤氏の「体のことを考えて」食事を出したなどと供述しましたが、他の家族が食べていたヨーグルトやサラダを後藤氏にだけ与えなかったり、後藤氏が食事を少量にしてくれなどとは言っていなかったにもかかわらず、1年半、毎日ほぼ同じ質素なメニューだったことを追求されると、「みそ汁の具は変えていた」など苦しい言い逃れを強いられていました。
他にも、後藤氏の提案によりMさんは一時、スポーツクラブに通っていたと供述しましたが、後藤氏は運動不足解消のため、室内で“屈伸”するしかなったなど家族間の生活の格差も浮き彫りとなりました。
2001年に後藤氏が「監禁」に抗議し、「出せー!」「助けてくれー!」「警察を呼べー!」などと2週間にわたって騒いだことについて尋ねられると、「ちょっと覚えていない」などと述べ、回答を避けました。
午後に行われた宮村氏の主尋問では、後藤氏をはじめ統一教会信者に対する「拉致監禁」を指示することは「あり得ません!」と強弁し、自らの関与をことごとく否定しました。
一方、宮村氏への反対尋問では、宮村氏によって「拉致監禁」された信者Tさんが94年8月、宮村氏に抗議に向かった際のことが言及され、宮村氏がその場でTさんに「バカ!」などの誹謗中傷を繰り返し、Tさんに暴行を振るったのではないかとの尋問がなされました。宮村氏はこうした内容をあくまで否定し、当日の様子を収録した映像の用意がある旨を原告代理人が示唆しても供述を変更しませんでした。追って同映像は原告代理人から「弾劾証拠」として提出されることとなりました。
また、宮村氏は、自らが運営していたことを否定する「水茎会」が、毎月、現役の信者家族から1万円、脱会に成功した家族から5千円の会費を受け取っていたことを認めた上で、原告代理人弁護士から「(水茎会の)会計を知ってるじゃないですか!」と追及されると、「揚げ足を取らないで下さいよ大の大人がぁ」などと反論。他にも「先生(原告代理弁護士)、字をちゃんと読んで下さい」などの不遜な発言を繰り返しましたが、遂には「下手な誘導尋問やめて下さい」といった目に余る発言をしたため、裁判長から「そのまま調書に取りますよ!」と警告を受ける場面もありました。
「(宮村氏が関与した)保護された信者の中で、初日に(保護されたマンションから)出た人がいるのか?」と問われ、宮村氏は「本人の許可が得られれば言います」と述べて言及を避けましたが、2011年1月に宮村氏が説得に訪れた信者がベランダから飛び降りてマンションを脱出した事例を指摘されると、あっさりとその事実を認めました。
反対尋問の終わりに、原告代理人弁護士から、後藤氏のように「自分(宮村氏)が10年以上外に出られない立場だったらどうか?」と問われると、「私は、徹君が反省するには良い機会だと思う」などと述べ、12年5か月にわたって後藤氏が部屋から一歩も外に出られなかった状況を、当然のことであるかのごとく述べました。
次回は、9月24日(火)午前11時半から709号法廷で、最終弁論が行われます。なお、法廷での傍聴は抽選になる予定ですので、詳しくは東京地裁の傍聴券交付情報をご確認ください(通常は、開廷時間20分前までに東京地裁玄関前の指定場所で抽選券が配布され、その場で抽選が行われます)。
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