統一教会信者である佐賀大学の元女子学生Aさん(当時22才)とその両親が、信仰について侮辱され、棄教を迫られたと主張し、同大学(佛淵孝夫学長)と同大学の森善宣(よしのぶ)准教授(当時53才)に対し損害賠償440万円を求めていた民事訴訟の判決が4月25日午後、佐賀地裁(波多江真史裁判長)であり、大学に対して損害賠償を命じる判決が下されました。
佐賀地裁は、まず、本件は公権力の行使に当たるとして、「国家賠償法」が適用されると認定。森准教授の原告に対する行為について、信仰の自由に対する侵害及び名誉感情に対する侵害に該当するとして「不法行為」であると認めましたが、損害賠償責任は佐賀大学のみが負うとの判断を下しました。その結果、佐賀大学に対し、原告のAさんには4万4千円、同じく原告のAさんの両親には、それぞれ2万2千円の合計8万8千円の支払いを命じました。
判決について、Aさんは「不法行為が認められ、大学の責任が認められたことは評価します。そもそも、この事件は、大学の組織的な『カルト対策』の一環としてその延長上に起きたものです。今回の大学の責任を認める判決を機に、大学において信教の自由を抑圧する『カルト対策』がなくなることを期待します」とコメント。
Aさんの両親は「大学当局が深く反省し、二度とこのような事件が起きないよう希望します。控訴するかしないかについては、代理人と相談して決めたい」と話しています。
2012年2月、佐賀大学の学生だったAさんは、担当教員の森准教授に呼び出されて研究室に行ったところ、森准教授から信仰について軽蔑・侮辱する発言を繰り返され、当教会やAさんが加入していたCARP(原理研究会)からの脱会を執拗に迫られました。さらに森准教授は、Aさんの両親の信仰にも言及し、統一教会の合同結婚式は「犬猫の結婚」であり、Aさんの家族の生活は「犬猫の暮らし」などと侮蔑しました。
これを受け、AさんとAさんの両親は2012年5月、信仰の自由を侵害され、名誉感情を侵害されたとして、森准教授と佐賀大学に対して損害賠償を求める訴えを佐賀地裁に起こしました。
今回の判決を受け、当法人の鴨野守広報局長は「真理を探究し、思想信条の自由を重んずべき大学において、二度とこのような人権侵害が行われないよう、強く求めます。またマスコミの皆様には統一教会、CARPメンバーを拉致監禁し、脱会させ、報酬を得るというカルト利権集団が存在し、信仰の自由が著しく侵害されている事件にも関心を持ってもらいたい」とのコメントを発表。
また、南谷知幸・CARP広報渉外局長は「今回の事件の背景には、全国の多くの大学で展開されている、宗教系サークルへの不当な『カルト対策』があります。今日の判決で大学の責任が認められた以上、文部科学省は大学内で不当に行われているこのカルト対策問題を抜本的に見直して是正するように指導していただきたい」と述べています。
4月25日午後、原告代理人と関係者が佐賀教会(佐賀市)で記者会見し、全国紙や地元紙の記者が多数取材に駆けつけました。
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