「週刊ポスト」6月4日号が報じた特集記事「韓国農民にあてがわれた統一教会・合同結婚式日本人妻の『SEX地獄』」が著しい偏向・歪曲記事であるとして、当法人は、発行元の小学館に対して、強く再三にわたり抗議を申し入れてきました。
さらに7月22日付で、記事の情報源である中西尋子氏に対して、見出しの根拠となった「Aさん」なる人物に対して、当法人が調査した結果をもとに事実関係を明らかにするよう、抗議文を送付しました。これに対して、中西氏は弁護人を通じて、回答書を送ってきましたが、その内容は「本件記事は週刊ポストが編集したものであり、本件記事の見出しも週刊ポストが作成したもの」と弁明に終始し、「Aさん」についての具体的な根拠を一切提示できませんでした。
これは、週刊ポストの記事が事実に基づかず、ねつ造されたものであることを認めたものとも言えます。
以下に、当法人の抗議文と、中西氏の回答書を公開します(なお、一部、信者のプライバシーに配慮して、伏せ字とした部分があります)。
――――――――――――――――――――
平成22年7月22日
中西 尋子様
抗議文
〒150-0046
東京都渋谷区松濤1-1-2
世界基督教統一神霊協会
広報部長 太田 朝久
前略
「週刊ポスト」6月4日号の記事は、真の神の愛を説く宗教法人世界基督教統一神霊協会と信者、信者の家族、さらに韓国と韓国農民を著しく蹂躙する偏向記事であり、私たちは強く謝罪訂正を求め、さらに抗議デモなども行ってきたことは承知と存じます。
この記事の最大の問題点は、その見出し「韓国農民にあてがわれた統一教会・合同結婚式日本人妻の『SEX地獄』」にあります。このような見出しがなぜ付けられたのか。この質問に対して、「中西氏が聞き取り調査したAさん」のインタビューが根拠である、と「週刊ポスト」編集部は回答しています。
つまり、Aさんは中西氏が聞き取り調査を行った「ソウルからバスで4時間もかかる田園地域」すなわち淳昌でインタビューした26人の中の一人を指します。
このAさんは、
① 結婚相手の写真を見た時、「私の人生これで終わった」と思った。まったく好みとは違うルックスだったという。
② (新婚当時)夫は無職。
③ (そのため)一日中家にいるので昼間から体を求めてくる。
④ (これに対して)Aさんは「部屋のカギを閉めて、夫から逃げました」。
以上のような発言を中西氏に語ったことになっています。
果たして、上記のような体験をした女性が本当に存在するでしょうか。櫻井義秀氏との共著『統一教会』(北海道大学出版会刊)の471ページに記載されていますように、この26人の多くは淳昌教会に所属していますが、韓国国内に移動した人、日本に戻った女性、病気で亡くなった女性もいます。広報部で聞き取り調査をした人のリストは、次の通りです。
さん、 さん、 さん、 さん、 さん、 さん、
さん、 さん、 さん、 さん、 さん、 さん、
さん、 さん、 さん、 さん、 さん、 さん、
さん、 さん、 さん、 さん、 さん、 さん、
さん(2004年死去)、 さん(2005年死去)。
当法人広報部は、この26人に関して現地に赴いて聞き取りした他、電話、メールなどで調査を実施しました。また、不幸にも亡くなられた女性については、周囲の友人らに聞き、上記の内容に該当するかどうかを調べました。このほかにも中西氏が現地を訪問した当時に淳昌教会に所属していると思われる複数の方の聞き取りもしました。
その結果、判明したことは「週刊ポスト」に書かれた「Aさん」という特定の人物が実在しないという驚くべき事実です。
この事実に対して、淳昌教会で聞き取り調査をされた中西氏に、強く強く抗議を申し入れる次第です。
このねつ造記事の作成に、中西氏はどのように関与しておられるのでしょうか。
もし、あなたがこの記事に深く関与されているのであれば、あなたは二重の「裏切り」をした、ということになります。
すなわち、数年もの間、淳昌教会の日本女性があなたに示した厚意を完全に裏切り、信者がとりわけ生命視している結婚生活を、興味本位のスキャンダラスな記事に仕立て上げる材料として提供しました。これが第一の「裏切り」です。これは、あなたの人間性が問われる問題です。
しかし、あなたはそれだけでは物足りなかったのか、さらにセンセーショナルな見出しを導くために、実在しない「Aさん」なるものをでっちあげました。これは、学者として完全に「失格」の烙印を押される行為です。これが、第二の「裏切り」です。
韓国の地で、たとえ逆境に遭っても懸命に生きる日本人花嫁をそこまで足蹴にしてまで、あなたは学者として生き残り、名声を得たかったのでありましょうか。一時は、統一教会の現役信者のありのままの姿を調査して論文を発表された中西氏が、このような豹変をされたことを、あなたと交流し、あなたを知る心ある信者は深く失望し、傷ついています。
「週刊ポスト」の記事は、あなたの調査が元になって作られています。それゆえ、中西氏に強く抗議を申し入れる次第です。
7月31日までに、貴殿の謝罪文を要求します。
草々
――――――――――――――――――――
通 知 書
2010年7月30日
東京都渋谷区松濤1-1-2
被通知人世界基督教統一神霊協会
広報部長 太 田 朝 久 殿
東京都港区西新橋3丁目2番1号
共同ビル(西新橋)6階601号室
田村町総合法律事務所
通知人中西尋子代理人
弁 護 士 渡 辺 博
電 話 03-3431-4488
ファクス03-3431-4481
当職は、通知人中西尋子(以下、「通知人」といいます。)を代理して被通知人世界基督教統一神霊協会(以下、「被通知人」といいます。) に対し、被通知人の2010年7月22日付「抗議書」に関して、以下のとおり通知します。
1 被通知人は、抗議書において、通知人に対し、「週刊ポスト」6月4日号の記事(以下、「本件記事」といいます。)のAさんは、「通知人が聞き取り調査を行った・・・淳昌でインタビューした26人の中の一人を指します」とし、「『Aさん』という特定の人物は実在しない」とし、本件記事の「センセーショナルな見出しを導くために、実在しない『Aさん』なるものをでっちあげました。これは、学者として完全に『失格』の烙印を押される行為です。」、「『裏切り』です。」とし、抗議を申し入れ、謝罪文を要求するとしています。
しかし、通知人が、週刊ポストの記者からの取材を受けたことは事実ですが、本件記事は週刊ポストが編集したものであり、本件記事の見出しも週刊ポストが作成したものですので、通知人において、センセーショナルな見出しを導くために実在しないAさんをでっち上げた事実など存在しません。通知人は、被通知人から、学者として完全に失格の烙印を押される行為をしたと非難される理由もありません。したがって、通知人は、被通知人からの謝罪文の要求には応じることができません。
2 被通知人は、抗議書において、通知人に対し、「韓国の地で、たとえ逆境に遭っても懸命に生きる日本人花嫁をそこまで足蹴にしてまで、あなたは学者として生き残り、名声を得たかったのでありましょうか。」、「一時は、統一教会の現役信者のありのままの姿を調査して論文を発表された中西氏が、このような豹変をされたことを、あなたと交流し、あなたを知る心ある信者は深く失望し、傷ついています。」と非難しています。
しかし、通知人は、これまでもそして現在も、学者としての良心に恥じる行為を行ったことはありませんし、虚心坦懐にありのままの姿を調査し、研究し続けています。したがって、被通知人から、上記のような非難を加えられる理由は存在しません。この点は、通知人の共著書『統一教会 日本宣教の戦略と韓日祝福』(北海道大学出版会)を一読いただければ、理解していただけることと思います。
3 なお、今般、当職が通知人の代理人に就任しましたので、被通知人による通知人宛の連絡一切は、すべて当職宛にしていただくようお願いいたします。
以 上
――――――――――――――――――――
抗議文
――――――――――――――――――――
通知書
――――――――――――――――――――