統一教会からの脱会・改宗を目的として12年5カ月の間、親族らにより拉致され、監禁を受けていた後藤徹さん(46歳)の事件で、東京地検担当検事は2009年12月9日、不起訴処分を下しました。
後藤徹さんは、1995年9月11日から2008年2月10日まで12年5ヶ月もの間、親族らによって新潟および東京の合計3箇所のマンションに拉致監禁され、松永堡智(日本同盟基督教団新津福音キリスト教会牧師)及び長年、強制改宗に取り組んでいる会社役員、宮村峻氏らから脱会強要を受けていました。
「不起訴処分」とは、検察が被疑者らを裁判所に訴えないという処分であり、被疑者らが刑事処罰を受けるのはもちろんのこと、裁判で真相を追究されることさえもないことを意味しています。
後藤さんは同事件により、1995年8月の国際合同祝福結婚式によって結ばれた相手との結婚を破壊され、31歳から44歳までの貴重な人生の一部分を奪われました。
監禁中は宮村氏や元信者らから罵詈雑言の数々を浴びせられ、親族らから暴行・傷害を受けるという、深刻な人権侵害を含む重大な被害を被りました。また、2004年から2006年にかけて21日間、21日間、30日間と毎年一度ずつ行った、監禁に抗議する長期間のハンガーストライキ(断食)に対し、後藤さんは断食明け後もまともな食事を与えられないという食事制裁を受けたため、極度の栄養失調状態に陥り、2008年2月の解放時には緊急入院するほどでした。
このような犯罪行為に対し、後藤さんの入院先の医師が2008年2月に最寄りの巣鴨警察署に通報し、同年6月には、後藤さんは弁護士を通して荻窪警察署に告訴状を提出しました。ところがその後も警察の捜査はすぐには開始されず、同年9月に正式に告訴を受理したものの、警察は被疑者を誰1人として逮捕せず、また、強制捜査も行いませんでした。こうして、2009年2月には事件が荻窪警察署から東京地検に送致されたものの、一切の強制捜査も行われないまま、遂に今回の不起訴処分に至ったものです。
解放された当時の後藤さん(写真:米本和弘氏提供)、右端は監禁されていた荻窪のマンション
司法当局が強制改宗を目的とした拉致監禁を一切取り締まらないことが、これまで統一教会反対派に対し「統一教会信者を脱会させるためならどんなことをしても罰せられない」という「保障」を与え、こうした人権侵害を助長する結果となってきました。このため、43年間で推定4300件の被害が発生し、今日に至っています。
こうした事態を打開するため、後藤さんは今後、検察審査会への不服申立や、米国及び国連等における広報活動を通して、引き続き被疑者らの厳重処分に向け、働きかけていく意向とのことです。
拉致監禁被害者の会